近年では、治療に漢方を利用するケースが増加してきました。患者の方から漢方による治療を希望することもあり、医師が対応を求められていることすらあります。体質を改善できるという話が知られるようになり、根本治療になるのではないかと期待されているのが漢方なのです。しかし、実際には治療を進めるうえでの困難も多く、漢方による治療では看護師が力を尽くすことが強く求められています。
看護師によるケアが漢方治療で重要なのは、患者に服用を継続させなければならないからです。患者にいたっては、すぐに効果があると期待して薬を飲むことが多いですが、漢方の場合は一般的に即効性がありません。ですが、市販の風邪薬を飲むと咳や鼻水などが緩和され、解熱鎮痛薬を飲むと熱が下がったり、頭痛が治まったりすることから、漢方もすぐに効果があると考えている患者は多いのです。始めに漢方は継続的な服用が必要だという説明をしても、効果がなかったときに不安にならないよう、添えた言葉だろうと思われてしまうこともよくあります。
看護師にとって重要なのは、即効性がなくがっかりしてしまった患者にもモチベーションを与えて、服用を継続させるように対応することです。すぐに効果があるとは限らないことを改めて説明するだけでなく、継続的に服用した結果をイメージさせましょう。体質が改善され、根本的な治療に近付いていく様子をイメージさせることでモチベーションを上げるのが、看護師の患者対応で重要なポイントです。